毎月の乳腺炎に苦しんだ私の体験談|母乳育児の辛さと助けになった存在

はじめに

私は以前、助産師として働いていたのですが、出産前はまさか自分の母乳育児がこんなに大変になるとは思ってもいませんでした。いざ自分が出産し、授乳を経験して初めて、授乳の大変さを実感しました。毎月のように乳腺炎に悩まされ、乳腺炎までいかなくてもおっぱいが詰まるのはしょっちゅう。搾乳で手は腱鞘炎、体はボロボロ。睡眠も削られ、乳腺炎の恐怖から食事の制限に追い詰められ、「母乳育児をやめたい」と何度も思いました。

この記事では、そんな私の壮絶だった母乳育児の体験を記録として綴ります。
今、同じように悩みながら授乳と向き合っているママたちの、少しでも心の支えになれば嬉しいです。

母乳が出る=「楽」とは限らない

完全母乳をしていると、周りから「おっぱいがよく出ていいね」「母乳が一番だよね」などと言われるお母さんも多いのではないでしょうか。もちろんそれもその通りだと思います。赤ちゃんが欲しいときにすぐに飲ませられ、ミルク代もかからないなどメリットも多くあります。私の完全母乳の経験から感じたことは、「おっぱいがたくさん出るからと言って、母乳育児が楽なわけではない」ということです。
母乳育児について話すと、よく「おっぱいがよく出ていいね」と言われることがあります。
確かに、赤ちゃんが飲みたいときにすぐにあげられる、ミルク代がかからないといったメリットはあります。

でも、私自身、完全母乳の経験を通して強く感じたのは、「母乳がたくさん出ること」が必ずしも良いこと、楽なことばかりではないということです。

私は母乳過多だったため、3時間も経てばおっぱいがガチガチに張って激しく痛み、母乳もあふれてくるので母乳パッドは必須、授乳させなければどうにもならない状態に。
乳腺炎などのトラブルがないときでも、長時間外出するのが難しく、とくに遠出はほとんどできませんでした。出かけるとしても、授乳・搾乳のタイミングや授乳場所の確保など、毎回が覚悟がいるイベントでした。

さらに、寝ている間にも時間ごとにおっぱいが張って痛くなり、寝るときも卒乳するまでうつ伏せはもちろん、横向きで寝ることもできませんでした
夜間の授乳間隔が少しずつ空いてくる産後半年くらいまで、起きたときの胸の痛みが怖くて、寝るときも常にドキドキ緊張していました

また、乳腺炎などのトラブルがない日のほうが少なかったため、育休中という貴重な時間も友人とランチに行ったり、おいしいものを食べたりすることはほとんどできませんでした。

世間で語られる「母乳育児の良さ」は確かにありますが、その裏には見えない制限やストレスがあることも、同じく多くのママたちが抱えている現実だと思います。

乳腺炎との闘い

乳腺炎の前兆

私の授乳生活で特に辛かったのが、毎月のように繰り返す乳腺炎でした。お風呂で鏡を見て、「あれ?少しおっぱいの一部が赤いような?」と思ったら要注意。その時点で詰まっている腺を見つけ、搾乳して栓を抜くことができれば良いのですが、そううまくいかないことが多く、あっという間に寒気、関節の痛み、発熱と症状が進みます。おっぱいは岩のようにガチガチになり、血管が浮き出て激痛が走ります。歩くだけでも胸が痛むという過酷な状態が続きました。
乳腺炎を何度も経験していると、授乳間隔が空くことによるおっぱいの張りの痛みと、乳腺炎になる前兆の「あれ、?これなんか嫌な予感がする・・」という痛みの違いも分かるようになりました。

ちなみに、「赤ちゃんはおっぱいの味がわかる」「乳腺炎を教えてくれる」といった話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、実際に私はそれも体験しました!
気になる…!!という方は、乳腺炎の時の母乳の味を確認した体験談とともに別記事に綴っていますので、こちらも覗いてみてください♪

家族や周囲の理解と協力

乳腺炎になると、日常生活にも支障をきたすため、実母に来てもらったり、夫に仕事を休んでもらわなければならないことが多々ありました。この経験から、乳腺炎やその他の育児トラブルの際には、家族や周囲の理解と協力が不可欠であることを強く感じました。

助けられた母乳相談室

乳腺炎の時に大きな支えになったのが、最初の乳腺炎の時からお世話になった母乳相談室の助産師さんです。乳腺炎は夜や休日に急にやってくることも多く、その度にLINEで相談し、的確なアドバイスをもらうことができました。緊急時にすぐ相談に乗ってくれるその助産師さんの存在がなければ、私の母乳育児はどうなっていたのか分かりません。また、月1回役場で開催されている赤ちゃん相談もおっぱいの相談ができ、また助産師さんや保健師さんとの何気ない会話も気分転換になり、とてもありがたかったです。本当に心の安定剤でした。
乳腺炎に悩むお母さんたちには、信頼できる母乳相談室や助産師さんとのつながりがとても支えになると思います。遠慮せずにどんどん頼りましょう。

搾乳の大変さと助けてくれたグッズたち

母乳育児をしていると、搾乳は避けて通れない時もありますが、私の場合、日常的に搾乳の機会が多く、腱鞘炎に悩まされました。搾乳を繰り返すことで手首の痛みがひどくなり、最初は何とか我慢していましたが、毎日の事なので、そのうち我慢が利かなくなります。そこで、たまたま母が腱鞘炎の時に使っていたサポーターを借りて使うと、「楽!!」授乳や搾乳で手首を動かす時の痛みが和らぎました。サポーターのおかげで、搾乳の際の負担が軽減され、腱鞘炎の症状も少し楽になったように感じました。「なんでもっと早く使わなかったんだろう!」と思いました。

また、私は母乳過多のせいで搾乳の時には、射乳が部屋のあちこちに毎回飛び散ってしまいとても大変でした。最初は大きなバスタオルを頭からかぶってその中で飛ばないように搾乳していたくらいです。
そんなときに便利だったのが、搾乳用カップ&ホルダーのセットです。両手も開くので搾乳もしやすい!なによりこれを使うことで、部屋を汚さずに搾乳でき、搾乳のストレスを減らすことができました。

これについては別記事で詳しく書いていますので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。

母乳育児が辛いお母さんへ

母乳育児はひとそれぞれ。もちろん完全母乳でスムーズに育児できているお母さんたちもたくさんいると思いますが、そうではない場合もたくさんあります。赤ちゃん側の理由でうまく飲むのが難しいとか、お母さん側の理由で難しいとか、トラブルがあって大変など。様々な理由でが母乳育児が辛いと感じているお母さんたちには、無理せず、ぜひお母さんにあった方法を選択してもらいたいなと思います。

一人の母として、助産師として、母乳育児がすべてではないと思うのです。
母乳が良いとされることが多い中で、授乳が辛い、痛い、育児がしんどいという気持ちを抱えながら無理してまで、母乳育児を続ける必要はないと思うのです。

大切なのは、お母さん自身が心身ともに元気で育児ができることが一番!
そのことで育児がもっと楽しく、もっと幸せなものになると思います。
もし、母乳育児がどうしても辛い時は、思い切ってミルクに切り替えることも選択肢の一つではないでしょうか。

お母さんが幸せで元気でいることが、きっと赤ちゃんにとっても一番の幸せだと思います♪

授乳生活を振り返って

長女が4歳になった今振り返ると、たくさん涙を流し、辛い思いをした授乳生活ではありましたが、
それでもやっぱりあの授乳生活はかけがえのない幸せな時間だったと感じます。
今となっては、あんなに我が子と濃密に過ごせる時間はないと思います。
ごくごくおっぱいを飲み込む音、あんなに小さな体で一生懸命口。のように思い出せます。
決して忘れられない大切な育児の思い出です。

そしてわが子は0歳にして、おっぱいが詰まった時も、乳腺炎の時も、一生懸命おっぱいを吸って詰まった栓を抜き助けてくれた救世主でした。また、何度も大変なトラブルを一緒に乗り越えてきた、まさに戦友でもありました。

授乳の思い出を形に

二度と戻らないかけがえのない時間、授乳生活の思い出を形に残したいと思い、母乳ジュエリーを作りました。
母乳ジュエリーは、母乳の一部をジュエリーとして加工してもらうもので、世界で一つだけの宝物です。ジュエリーを見るたびに、授乳していた頃を思い出し、心が温かくなります。
先日は、娘の保育園の進級式のときに着けました♡
これからも娘の人生の節目節目で身に付けたいと思っています(ちなみに今年、2人目も作りました!)

※とっても素敵なこの母乳ジュエリーについては、後日詳しく別の記事でご紹介する予定です。
「大変だったけど、幸せだったあの時間を残しておきたい」と思っている方にはぜひ、おすすめです。

※後日談 2人目育児と新たなトラブル

その後、2人目を妊娠した際には、長女の時の完全母乳が壮絶だったので、妊娠中から母乳外来の助産師さんに相談に行き、計画的に混合育児を取り入れる準備を始めました。
出産後すぐから、乳房を圧迫しつつ冷罨法(れいあんぽう)を行い、母乳の分泌量を調整することで、無理のない授乳ができるようになり、今度こそ順調に進むかと思われました。

ところが――
2人目育児では、今度は「哺乳ストライキ」という新たな大きな壁にぶつかることになるのです…。

この体験については、別の記事で詳しく綴っていますので、よろしければそちらもご覧ください。

おわりに

母乳育児は決して楽なものではありません。辛い時期もありますが、その先には赤ちゃんとの絆が深まり、いつか振り返ったときにかけがえのない思い出となる日が来ます。
母乳育児だけではなく、もちろんミルク育児でも大変なことや、辛いと感じるお母さんはいると思います。
辛いときには無理せず、ぜひ周りに頼ったり、少し休んだりして自分の心と体を大切にしてください。
この体験談が、今まさに頑張っているお母さんたちの励みになれば嬉しいです。

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