お子さんの上唇小帯切除、舌小帯切除について悩まれている親御さんも多いと思います。
私は娘が生後6か月の時、小児歯科で上唇小帯・舌小帯が短めと言われました。少し短かそうだなと思ってはいたものの、いざレーザーでの手術をおすすめされると、それを決断するのはとても難しいことでした。
そこで、手術を決断するまでに悩んだこと、その時の気持ち、考え、実際に手術してどうだったかを記録に残したいと思います。
切除すべきか悩む親の心境
上のお姉ちゃんは、生後7か月から小児歯科のベビーコースに通っていました。
今回、第2子はも生後6か月で人生初の歯医者に。
そこで、先生に診察してもらった結果、上唇小帯が太くて短い、それで上に引きつられているせいで富士山型の口(お口ぽかん)で開いている、舌小帯もやや短め、舌の真ん中が凹んでいる(ハート舌)、と説明されました。
産後から、母乳も哺乳瓶も、お姉ちゃんの時より吸いつきが浅いことは自覚していましたし、上記について、実際に口腔内写真を見せていただきながら説明されて、納得という感じでした。
ただ、先生も「悩むところだけれど…」と前置きしたうえでリリース(切除)をお勧めしますと言われた時に、やはりすぐに決断できることではありませんでした。
とりあえず夫と相談し、悩むこと2か月。
先生にも何度も相談し説明してもらい、「絶対手術しなきゃいけないというレベルではない」ということ、「予約日ぎりぎりまで迷っていいですよ」と揺れ動く親の気持ちに寄り添った言葉をいただき、じっくりと、やるべきか、やらなくてもいいか…何度も考えました。
小児科医にも相談
悩んでいる期間にも娘が風邪をひき、小児科に行ったときに、主治医にも相談しました。
その時点では、主治医から「今哺乳に問題があるのであればやってみる価値はあるかもしれないですよ」と言われ、その時哺乳ストライキで母乳もミルクも飲まずに寝ている間に飲ませている状態だったので、それなら受けてみようかなという前向きな気持ちになりました。
なぜ2か月も悩んだか
大きな理由の1つに、〝哺乳ストライキからの脱却″がありました(哺乳ストライキについては別投稿あり)。
当初、初診で先生から上記説明を聞いた頃は、4か月間続いた母乳も哺乳瓶(ミルク)も完全拒否の哺乳ストライキの真っ最中でした。なので、それだけが原因とは限らないけれど、上唇小帯や舌小帯が短いことで哺乳に影響している可能性がゼロではないという気持ちから、受けてもいいかな、という前向きな気持ちがありました。
ところが、次に受診したときには、嬉しいことに(奇跡的に)ストライキが終わって哺乳瓶でミルクを飲んでくれるようになっていたのです。
このことで、また振出しに戻り、改めて手術を受けるべきか、改めて考え直すことになりました。
決断に至るまでの親の心境
決断に至るまでに夫婦で話し合った時に、『やった方がいい』という気持ちと『やらなくてもいいのでは』という気持ちを行ったり来たり…。
とりあえず、当時の気持ち、決断するためのポイントを洗いだして天秤にかけました。
- まず、「絶対切除しなくてもいいレベル」というところで余計に悩む…
それなら今しなくてもいいのでは? - 今は問題なくても、将来構音障害(舌足らず)になったら…と考えると、今本人の記憶に残らない赤ちゃんのうちに手術してあげた方がいいのかな
- 哺乳ストライキも乗り越えてミルクも飲めるようになったから、ストライキはこれが原因ではなかったんだ。じゃあ切除しなくてもいいかも。
- 寝る時、普段から口が開いていることが多いから、やっぱりやった方がいいのかなと思う
- 離乳食をあげるとき、口は大きく開けることがあっても、お姉ちゃんの時と比べて舌が出てこない
- 抱っこしながら可愛い寝顔を見ていると、やっぱり、傷つけて痛い思いをさせることに、可哀想だなぁという気持ち
- 左足だけ筋緊張があり、ずりバイも左足を使わず引きずって進んでいる悩みがあり、赤ちゃん発達講座を受けたり、毎日マッサージや足指体操をしてもあまり改善せず。先生の「切除により口周りの筋肉が緩むと、全身の筋肉の緊張も緩む」という話は前向きに考えるポイント
切除を決断したきっかけ
なかなか決断できないでいた時、身近な人の実体験を聞けたのが決断の大きなきっかけとなりました。
お姉ちゃんの保育園のママ友と話している時に、同じく0歳の下のお子さんが、同じ小児歯科でつい先日切除術を受けたという話を聞きました。
そこで、「手術を受けたら顔が変わったんです」「手術したその夜から、手を広げてリラックスして寝るようになったんです」と体験談を聞くことができました。
『へぇ~~!!』
率直に、そんなことがあるんだ、と驚きました。
同時に私の中で、娘の体(特に左足)の緊張が強いこと、口が上に引きつられて開いていることについて、もしかしたら手術で良い方向に変わるかも、という思いが大きくなりました。
それまでに一旦は、「上唇小帯だけ切除でもいいですか?」というのも含めて、手術キャンセルの可能性についても先生に伝えていたのですが、これを機に
『やってみるか!』という気持ちに傾きました。
手術前後の様子
前日 何かを察して?夜のギャン泣き
普段は20時ころに最後のミルクを飲んで、20時半~21時に就寝。その後は6~7時まで約10時間通して睡眠がとれていました。
ところが!!
なぜか前日の夜は、いつもと同じ20時にミルクをあげようとしてもギャン泣き!抱っこしてもギャン泣き!!結局、長い時間泣き叫んで疲れて寝そうになりながらやっとミルクを飲んで寝ました。
これには驚きました。
夫と「絶対明日のこと、察してるよね」と確信しました。
当日 手術直前の様子
普段は夜間、20頃~6時頃まで約10時間ノンストップで寝るのですが、術前4時間は絶飲食だったのでこの日は朝5時に起こしてミルクを飲ませました。
病院到着後は、下着になりSpO2(酸素飽和度)のモニターを足の指に巻いて、おくるみに包まれ抱っこされて出発していきました。
ちなみに麻酔はなし。
表面麻酔だけでもしないのかと思ったのですが、最近はレーザーが発達して、ピリピリするくらいで済むようになっているので麻酔なしなんだそうです。
実際に娘が手術するのは1階、私たち親の待合室は2階だったのですが、娘の大きな鳴き声が2階まで響いてきました。泣き声に可哀想というよりも、夫とその泣き声叫び声の大きさに「すごいね👀💦」と言っていました。
娘の泣き声を聞いてもそこまで辛くなったり苦しい気持ちにならなったのは、職業柄もあるかもしれませんが、夫も一緒にいてくれたからかもしれません。
年度末の忙しい時期でしたが、夫が仕事の休みを取って一緒にいてくれてよかったです。
手術直後
10~15分後、術後すぐミルクを飲ませるためにミルクの準備をしていたら、あっという間に手術を終えて娘が帰ってきました。
さすがにたくさん泣いたので、目が赤くなって、髪の毛も汗で濡れていました。
手術中に滑らないようにガーゼで上唇をめくって保持していたために、上唇の上が少しすれて赤くはれぼったくなっている顔を見て初めて実感がわき、「痛かったかな、かわいそう」という気持ちになりましたが、痛がる感じもなく、帰ってくるときにはすでに泣き止んで静かに抱っこされてきました。
「がんばったねーー!おつかれさま!」と抱っこして、すぐに術後初めての授乳。
術前の絶飲食もあり、ちょうどお腹がすいている頃というのもあるとは思いますが、何事もなかったかのように、ゴクゴク・・・!!
ミルクを勢いよく飲む姿を見て、ホッと一安心しました。
と、同時に、
「なんか上唇が今までよりちゃんとめくれてる!」
「すごい吸いつきが深い気がする!」
『ほんとだー!!』
授乳時の口の開きや吸いつきの深さの違いに、夫や、授乳の確認をしてくれていた助産師さんたちと声をあげました。
そして、授乳後も夫が抱っこしている娘の顔を見て、
「上唇が下に降りてる」
「口が閉じてる」
と、表情の違いにも気づきました。助産師さんも、「よく切除すると、鼻の下が伸びるって言うんですよ」と話していました。
助産師さんたちに授乳チェックをしてもらった後は、診察室で先生から手術の説明と、今後毎日行う消毒と癒着予防のマッサージの方法説明と練習をしました。
帰宅後の様子
- 唾液が増えてすごい量出るので、スタイがすぐびしょびしょになる
- 最初は時々唾液に出血が混じり、スタイやカーペットに少し赤くつくことあり
- 手術で疲れたようで、帰宅後3時間爆睡
- 術後初めての離乳食
怖いのか痛いのか…食べさせようとすると最初口を開けず泣きましたが、一口食べると、それ以降は泣き止んで普通に食べてくれました。 - 寝るとき口が閉じることが多くなった
- 当日夜はぐずることもなく、いつもどおりに就寝
人によっては当日ぐずったり、興奮して泣いて寝れなかったりすることもあるようですが、特段普段と変わりなく過ごせました。
術後の消毒とマッサージ
術後に大事なのは1日3回、癒着を防ぐための消毒&マッサージ。
ですが、これが傷口を直に触って押さなければいけないので「かわいそう」な気持ちになり、最初は躊躇してしまいました。
でも、娘がせっかく頑張ったので、癒着してもと通りになってしまったらもっと可哀想。
次は、親の自分が頑張る番!
そう思って、〝心を無にして” 頑張ります(現在進行形)。
上唇小帯切除・舌小帯切除をした後の変化
顔が変わった!?
上述の手術直後のところでも触れましたが、鼻と口の間が少し長くなった気がします。また、今思えばそれまで上に引きつられていたのか、ほっぺが下がってすこしぷっくりした印象になりました。
数日後、母や妹にあったときにも「笑った時の雰囲気なんか変わったよね」と言われました。
授乳時の口の開き、深さ
手術直後(10分後くらい)の授乳の様子です。今までこんなに上唇がめくれるほど深く吸いついていたことがなかったので、違いに驚きました。

足、指の緊張が緩んでふわふわに柔らくなった
手術の翌日、いつものように足の指をくるくるまわす足指体操をしようとしたとき、今までにないくらい、ふわっと柔らかく指が回ってびっくり!感動しました。
逆に、今までがとても緊張して硬かったんだなと思いました。
そして手術の2日後には、足のマッサージをしようとふくらはぎや太ももを触ると、え!?めっちゃふわっふわ!これまた感動した変化でした。
むせる頻度が減った
特にコップでお茶やスープを飲むとき、必ずと言っていいほどむせていたのですが、手術後はむせる回数が激減しました。
寝る時の姿勢が変わった
これまで寝るときは両腕をキュッとしめるように縮めて、グーにした手が顔の横にきていました。ですので、雪国の寒い冬になんとか布団に入れようと思っても手が出てしまい、朝には手がキンキンに冷えてしまっていました。
ところが、以前ママ友も話していたとおり、手術当日の夜同じ光景が!
布団に寝せると腕をだら~んと、いかにもリラックスしている風に横に広げているではありませんか!
その姿を見て夫と、「いつもと違うよね」と顔を見合わせました。
口を閉じることが増えた
手術後も寝ている時、起きている時、気づけは口が開いていることはまあまあありますが、それでも以前に比べて特に寝ている時は口を閉じて寝ていることが増えました。
口の周りの筋肉が柔らかくなった
毎日口のマッサージをする際、下の唇の内側をマッサージするときが押し返されるような感じできつく、とてもマッサージしにくい事は先生からも指摘されていました。
ですので、少しでもほぐれるようにと毎日気にしながらマッサージを続けていました。
手術から3日目くらいに、そこがとても柔らかく、楽に指が入るようになりました!
ここって本来、こんなに柔らかいものだったんだ、と嬉しくなりました。
術後の経過
上唇小帯
手術翌日から傷口が白っぽく、偽膜ができていました。
家で1日3回の消毒とマッサージを行い、手術翌日、3日後、1週間後、以降1週間に1回病院で診察と消毒があります。加えて、毎回ではありませんが助産師さんの授乳指導があり、授乳の様子をチェックしてくれました。



マッサージの時は最初はガーゼに出血が毎回つきました。
ですが、日に日に付着する量も少なくなり、5日後くらいにはほとんどつかなくなりました。
上唇の傷


手術の際にがガーゼで押さえていた時に擦れてできた傷の経過です。当日はちょっと赤くて腫れぼったいかな、くらいでしたが、翌日は赤くかさぶたができてきました。
かさぶたになった部分はワセリンなどで保湿してあげないと、マッサージなどで口を大きく伸ばしたり開いたときにピキッと割れて出血してしまうので、気を付けて保湿していました。
傷のかさぶたは、手術の4日後くらいにははがれてきれいになりました。
おわりに
今回の手術は、私たち夫婦が悩みに悩んだ末の手術でした。
今現在(手術5日目)も傷のマッサージの時には泣かれてかわいそうな気持ちにもなりますが、私たちは、手術してよかったかなと思えています。
この投稿は、決して「手術をした方がいいですよ」と手術をお勧めするために書いたわけではありません。私たちも、手術を選ばない選択も十分あり得たからです。
〝今のうちにやってあげた方が、後から発音に問題があった時にことばの教室とか行かなきゃいけないの大変だよね″という考え方もできますが、逆に言えば〝何かあったらその時早めに(適切な時期に)ことばの教室とか行けば、今手術しなくてもいいよね”とも考えられます。
わが子のこととなると、自分のこと以上に迷い、悩まれることと思います。
一体験談として、この記事が手術にまれている方の決断の一助になれたらいいなと思っています。
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